今日はやたらと風雨が強かったので一日引きこもってこの本を丸々読破してました。
病院の待合室にある寄付された古本を販売しているスペースにあったものを、
何となく買ってみたのですが中々興味深く、面白い内容だったのでご紹介。
著者:荒木創造
初版発行:平成9年(1997年)11月28日
発行所:日本文芸社
アダルトチルドレンとは決して特殊な人間ではない。
経済的に豊かな先進国ではどこにでも見られる、この世紀末にはごく一般的な人たちである。
アダルトチルドレンとは人を愛することができずに、ただひたすら愛されることを求めてしまう、
どこか子供のままで、大人になることに失敗した人たちである。
この過剰にすべてがあふれる時代にあって、わたしたちはみな窒息状態となり、
なにか大事なものを失ってしまったのじゃないだろうか。
この失ったものをもっとも敏感に感じ取るのは、いつも次世代を担う子供たちである。
そして、子供たちは成長することを拒否し始めた。
わたしたちが失ってしまった大事なものとはなんなのか、
子供たちが成長することを拒否するとはどういうことなのか、その結果なにが生まれてきたのか、
そんなことを説明、分析し、解明しようというのが本書の狙いである。
(Amazon商品説明より)
この本のタイトルにある「アダルトチルドレン」(以下AC)というのは本来、
『アルコール依存者の子供として成人した人』という意味ですが、
(「AC」という言葉の語義の変化については本の中でも触れられています)
本書では早い話が「未熟な大人」という意味で使われており、
「未熟な大人とはどういうものなのか?」「それはどのようにして生まれてしまうのか?」
「そもそも大人になるとはどういうことか?」といったことを主題に据えて書かれています。
ACの例として挙げられている人物、(過去に筆者がカウンセリングした人)の幼少期について、
リサーチが不足していたり、記載されていなかったりする箇所があるのが気になりますが、
(この点はAmazonのレビューでも指摘されていますね)
分析・指摘している内容自体はそこまで的外れな内容ではないように思います。
(私自身に対しても「当てはまってるなぁ」と思った点が色々とありますし)
読んでみた感想ですが、この本で取り上げられている問題は、
この14年間で少なくとも改善はしていないのだなと感じました。
今でも家庭や教育現場は「子供にはもっと愛を」という方針で改善を試みて来ましたが、
それによって事態が好転していないところを見るに著者の主張も一理あるように思えます。
(※子供に対する愛情そのものを否定する内容ではなく、「ほどほどにしろ」という理論)
私を含むいわゆる「ゆとり世代」(90年代生まれぐらいの意味)も、
社会人、あるいは人の親になってもおかしくない歳になりつつあるので、
こういった本を読んでおくのも、悪くは無いのではないかなと思います。