今日はヒーローファクトリーのパーツ構成の傾向に関するお話。
ヒーローファクトリーシリーズが始まってから「単数・奇数パーツが多くなった」という(やや否定的なニュアンスを含めた)意見をたびたび聞くようになりました。
ビルダーからすればパーツはとりあえず偶数個あった方が何かと便利なため、ついつい「もう1個入れてくれ」「偶数個入れてくれ」という思いがよぎるのは当然といえば当然です。
しかし一方で「現実問題としてそれが可能か」「仮に偶数個構成を主体とした場合どうなるか」を考慮しないまま発言しているような印象を少なからず受ける事があります。
はたして偶数個構成にするのは良い事なのか、その辺りを探ってみましょう。
「単数・奇数封入」という現象が起こり、そして問題視される原因は要するに
左右非対称のデザインであるからに他なりません。(頭部や胴体パーツが単数封入でも不満に思う人はいませんよね?)
△片腕に装備が集中したアルファチーム(エリートチーム)のヒーロー達
思えばヒーローファクトリーは1.0の時点でアルファチームは非対称をウリにしたデザインでした。特にそれが顕著に表れていたのが武器にもなっている一体成型の腕パーツ。ただし、このパーツに関しては
単数封入以前に対になるパーツが存在しない事がそもそもの問題なので割愛。その影響を受けたのは白・黒・銀の拳パーツで、1セットに1個のみの封入。特に銀の拳パーツは新色パーツは新色だった事もあり、グラトリアンハンド使いを泣かせたという話があります。
△2.0シリーズのヴィランは3体が並んだ際に装備の配置が対になるデザインになっている
2.0シリーズでは全キャラクターが(程度の差はあれど)左右非対称のデザインに。特にその傾向が顕著だったのがヴィランサイドのキャラクターで、奇数個はもとより単数のパーツも多く存在。当シリーズから新ビルドシステムを採用した関係で大半のパーツが新造パーツだったこともあり、他セットで手に入れる事は不可能でした。
△3.0シリーズではヒーロー側に非対称デザインのキャラクターが多い
3.0ではアルファチームのキャラクターが再登場した事もありヒーロー側はより左右非対称感の強いデザインに。特に武器の基部になる大型アーマーパーツは単数封入が多かったように思います。一方、ヴィランサイドは獣を模していたからか左右対称のものがメインでした。
△2012年の新シリーズでも非対称デザインのキャラクターは多く存在する
4.0でも左右非対称さは受け継がれていて、ロッカとエヴォが顕著な例でしょうか。ヴィランサイドにはトゥーフェイスやキカイダーばりに左右非対称道の極みを行くスプリットフェイスというキャラクターも登場。ただし、全体を見ればヴィランサイドは比較的偶数構成が多いです。
△HeroFactoryはLEGOの中ではリーズナブルな部類といえる(価格は公式ショップで検索可能)
さて、どうやらHFシリーズが左右非対称デザインを好んでいるのは確かなようです。しかしなぜHFから急にこの傾向が顕著になったのでしょうか?
それはBIONICLE STARSから引き継いだ
$7.99という価格設定に起因していのではないかと私は考えています。
$7.99という価格設定はレゴブロック全体から見てもかなり安価な部類に入り、当然の事ながらコスト面でも大きく制約がかかる事は簡単に予想できます。
特に2.0からはその傾向が顕著で、1.0はSTARSとさほどボリュームが変わらない為に素体と脚の共通化ぐいで済ませていましたが、2.0ではパーツ数の増加と大型化をするべく「
パッケージ金型の流用」「
パッケージの形成色を一本化」「
共通フレーム&アーマーの導入」など、
コストカットの工夫が目白押しです。
しかし、共通フレーム&共通アーマーの導入というのはコスト削減・ブロックトイ体系の確立という面では優秀な反面、キャラクター毎の個性を出そうとする際には足枷ともなります。
そこでレゴ社は「左右非対称」というデザインを導入するようになったのではないでしょうか?
例えば10個のパーツを使って腕を作る場合、5:5で割り振るよりも8:2ぐらいで割り振った方が個性を出しやすいですよね?仮に5:5で割り振るにしても普通に割くよりもスプリットフェイスのように左右で色を変えた方がインパクトがあります。
HFの史上命題は「カッコいいこと」と「ブロック玩具としてキチンと遊べること」だと思われます。ブロック玩具としての遊びやすさという観点からすれば複数個構成が理想的ですが、HFがアクションフィギュアとしての側面も持つ以上、「カッコいいこと」が優先されても文句は言えません。ついでに言えば、そもそも売れなければ話にならないのも忘れてはいけません。
△いわゆる「小箱」と呼ばれるラインはHFシリーズにて大きく発展した。
もちろん見た目を優先する為にブロック玩具としてのシステムを破綻させては元も子もありませんが、これについてはバイオニクル時代よりもむしろ大きく改善されていると言えます。バイオニクルは
セット内組み換えどころかマッシュアップですら困難なケースが多かった上に、今よりも1つのセットが高価でした。一方、HFは
拡張性が高い上に複数買いも充分に視野に入れられる価格設定です。
「いや、海外では$7.99でも日本では1290円じゃないか!⇒だから複数買いは無理だ!⇒パーツ構成を改善しろ!」という人がいるかもしれませんが、ちょっと冷静に考え直してみてください。日本国内でのレゴの販売価格というのはレゴジャパンが設定している数値である以上、
国内外の価格差については分けて論じるべきです。(販売・流通形態についても同じ事が言えます)
ましてや「お金が無いから無理!」というのは法外な価格設定でもない限り完全に個人の問題。無理に低価格化を推し進めた結果「品質低下」なんて事になればそっちの方がよっぽど迷惑です。
そして何より
左右非対称にする事でパーツの種類自体は増えているという事を忘れてはいけません。
例えば6つのパーツで製品を構成するケースを考えてみましょう。もし「パーツは偶数個入れなければならない」という制約を付けた場合は当然「
AABBCC」という
3種類のパーツによる構成が限界になります。しかしその制約を設けない(左右非対称可)であれば「
ABCDEF」という
6種類のパーツを用いた構成も可能になります。
注目すべきは、「左右非対称不可」とした場合
「DEF」というパーツはこの世に存在しない(製品化されない)という点です。当たり前ですが
存在しないパーツはビルドに使う事はおろか、そもそも入手する事すらできません。
以上の理由を踏まえて私は「単数封入のパーツが存在しても構わない」と考えています。もちろん「複数構成が良い」と思うのは自由です、否定はしませんし私には出来ません。ですが、こういう見方もあるのだということは念頭に置いて欲しいなと私は思います。
COMMENT
No Title
ヒロ工で最安値ですね(ドロップシップとかその辺は別)。
最安値である以上、このままで十分です。はい(笑)。
(左右非対称が嫌ではないです。逆に格好いいデザインです(笑)
ヒロ工の醍醐味はアーマーの差し替えですか?
個人的な意見ですが、共通のフレームは正直見飽きてしまいますね。
(ヒーローを量産する自分にとってヒロ工素体は役に立っていますが)
ニクラーを驚かしてくれるような製品を出していただきたいです。
(12/28 20:12 追記)
場違いですが、SHのウルトラビルドシリーズで新たに分かったことがありました。
グリーンランタンのカラーは原色グリーンではなく、
『Bright Green 』と呼ばれる明るめのグリーンのようです。既出かもしれません。
失礼しました。
パーツ
ただ、そのパーツが自分にとって欲しいパーツであれば複数買いは問題ないなと思います。
バイオニクルの商品と比べると、ボトル商品も箱商品もそれほど高くなく複数買いも容易。
大箱も2990円が多いので割と安いですしね。
>emt-100418さん
「組み換え(オリジナルビルド)」という段階に進む為の最初の一歩として「アーマーの差し替え」という遊びが提案されているわけですから、「アーマーの差し替え=醍醐味(最終段階)」というのは違うように思います。
>共通のフレームは正直見飽きてしまいますね。
見飽きている具体的な理由(「フレームがパーツとしてダメ」とか「同じパーツを毎年リリースするのがイヤ」とか)が書かれていないので正直返答に困ります;
>ニクラーを驚かしてくれるような製品を出していただきたいです。
んー、2.0規格やウィッチ・ドクターは充分に衝撃的だったと思っていますがいかがでしょう?
シリーズ4にしてもジョーブレードやスプリットフェイスなど新しい試みはなされていると思いますし、少なくとも安打は打ってると思います。
>グリーンランタンの色
情報提供ありがとうございます。
CITYのゴミ収集車などもこの色を採用しているようなので、
もしかすると新灰・新濃灰の時のように今後はこれがスタンダードになるのかもしれませんね。
>ユーリさん
もし、これ以上値段を下げて欲しいのであれば「サイズを小さくする」「品質を下げる」「共通パーツを更に増やす」「色を減らす」といったような事を覚悟する必要がありそうです。
珍しく力説系?
私などは、購入にあたっての感覚が一般人ユーザーとはかけ離れちゃってるところがあると思うので、この件について意見してもピントがずれちゃいそうなんですが、使えそうなパーツに限って奇数なのは、明らかに、少しでもLEGOにハマったユーザーを2個買いに導く作戦ですよね。あれ?違う?
もう「偶数個欲しくなるパーツは決まって奇数封入」が当然の感覚だし、偶数欲しけりゃ2個目を買うだけだし、その予算がなきゃ我慢するし、LEGOってそういうものだと思ってるし(笑)。
それに、偶数にしたかったパーツに付随してくる、その他大勢のパーツ群だって、確実にオリジナル・ビルドの糧になる日が来るんですよね。そこも面白いし。
とにかく、奇数だろうと偶数だろうと、大した問題じゃない、ということでー(笑)。
初めまして
貰っております。
ニクルを購入してた頃は説明書通りの組みで
満足して組換えは皆無でしたが
HFになってから管理人様や他の方が前述した様な
部品奇数個や2.0胴フレームの骨振り等を
補完しようと言う形で、逆に組換え欲刺激され
1.0善玉に2.0の腕・腿・武器を組込んだのを初め
2.0フレームの背を逞しく見せるのに
都合良さそうなテクニック部品ネットで探したり
善玉+悪玉で善玉を組み、その余り部品で悪役を
組直し、その余りを又別製品の組換へと言う形で
楽しんでます。
私って、多分企画者達の意図通りに動いてる
客なんでしょうね、きっとw
追伸:ファーノ3.0と牙ゴリラの相性の良さは
私的に異常だと思いますw
後、HF組換してると胴フレーム余り捲るので
何とかマッチョな上腕や腿部品(もしくは盾)
辺りとして転用出来ない物か悩んでる処。
ついでに、断じて俺はホモでは無い。
>GMさん
というよりも「あまりに意見が一辺倒だなぁ」と思ったといいますか。
客観的に見てバイオニクル系シリーズは明らかにここ数年で大きな改善が図られているのに、そこに対する評価をスッ飛ばして文句言うのは何か違うだろうと。
後、ここ最近情報記事ばっかりだったので色々書きたい欲求が溜まっていたというのもありますw
>私などは、購入にあたっての感覚が一般人ユーザーとはかけ離れちゃってるところがある
それはまぁ、私も似たようなものだと思います(苦笑)
>使えそうなパーツに限って奇数なのは、明らかに、少しでもLEGOにハマったユーザーを2個買いに導く作戦ですよね。あれ?違う?
商売ですからそれは間違いなくあると思いますねー
ただ「売る工夫」がされている箇所がデザイン的にもチャームポイントになっている事も多いので一概に否定できるものではないかなと思ったりで。
まぁ、「レゴ クリエイター ヒーローファクトリー」なんかがあると良いんですが、少なくともボトルのような廉価帯で「全部入り」のセットが作れないのは事実なので、そこはちゃんと分かってあげる必要があるのかなと。
>LEGOってそういうものだと思ってるし(笑)。
私もすっかりそんな感じですねー。
何かで立体物の製作しようと思えば(プラモや模型とかにしても)キットを複数買いしたり、欲しいパーツ(材料)を買うのは当たり前の事ですし。
「ユーザーがお金を払っている」と言っても対価としてサービスを享受している以上は対等な立場ですしね。
>その他大勢のパーツ群だって、確実にオリジナル・ビルドの糧になる日が来る
ですよねー
「コレをどうせぇっちゅうねん!」というようなパーツもHFなってからは激減したので後はビルダーの意欲次第でしょうか。
>とにかく、奇数だろうと偶数だろうと、大した問題じゃない、ということでー(笑)。
そうです、そうなんです。大した問題じゃないんです!
まして今はパーツ単位での調達もその気になれば可能な環境ですしね。
>ソネミホモスキさん
>逆に組換え欲刺激され
バイオニクルは単体で完結していた部分が強いので正直言って拡張・改造しずらかったですしね。
ヒーローファクトリーでは馴染みのジョイントやコネクタが廃されたものの、各パーツがある程度記号化されていたりシステマチックになっているので組み換えへの敷居は大きく下がったように感じます。
>私って、多分企画者達の意図通りに動いてる客なんでしょうね、きっとw
ブロック玩具や組み換え玩具はそうやって売っていくものなのでそれでいいのではないかとー
「企画者達の意図が伝わってこない」というのは、そもそも企画としてマズい事が多いですし、その意図に必要以上の下心が無いならば乗って良いと思います。
>組換してると胴フレームが余りまくる
逆に言えばそこ以外は捨てる所がないので私はあまり気にしていなかったり。
まぁ、胴体に使えればそれで良いような気もしますが、転用方としては、巨大なバイクのステアリング部分に組み込んでいる猛者もいるようですよ。
他パーツに比べれば使いにくいのは確かですが、言うほどのダメパーツではないので工夫次第では活路を見出せそうな気がします。